NF-kB のターゲットとなる遺伝子を調べるには?

マイクロアレイ解析の結果、確認したくなるのは、特定の生物学的な機能を持った遺伝子の変動パターン(増加したか減少したか)だと思います。この特定の機能を持った遺伝子のリストは、GOなどのアノテーションを見れば分かる場合もありますが、そうでない場合もあります。

例えば、転写因子である NF-kB のターゲットとなる遺伝子(制御される遺伝子、下流の遺伝子)は、アノテーションの情報からは知ることができません。このような場合では、インターネット上に公開された情報が役立つことがあります。

幸い、NF-kB のターゲットについてまとめた2つのサイトがあります。

これらのデータベースの情報を利用すれば、 NF-kB のターゲットとなる(既知の)遺伝子のリストを取得できます。

NF-kB のターゲットとなる遺伝子のデータベースの例1。Boston University Biology, NF-kB Transcription Factors.
NF-kB のターゲットとなる遺伝子のデータベースの例1。Boston University Biology, NF-kB Transcription Factors.
NF-kB のターゲットとなる遺伝子のデータベースの例2。 Karo Gosselin, Hélène Touzet, Corinne Abbadie, Institut de Biologie de Lille et LIFL.
NF-kB のターゲットとなる遺伝子のデータベースの例2。 Karo Gosselin, Hélène Touzet, Corinne Abbadie, Institut de Biologie de Lille et LIFL.

しかしながら、 NF-kB ほどメジャーな遺伝子でなければ、このようなデータベースの形で整理されていることがないというのも現状です。その場合、配列情報ベースで推定したり、文献情報から制御関係をピックアップすることになりますが、簡単ではありません(上流解析に利用できる情報の2.を参照)。

 

投稿者:

Atsushi Doi

株式会社セルイノベーター、主任研究員。理学博士。山口大学大学院理工学研究科修了。東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの特任助手を経て、株式会社GNIに主任研究員として勤務。その後、株式会社セルイノベーターの立ち上げに参加し、現在に至る。専門は、バイオインフォマティクス、おもにシステムバイオロジー。

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